『雨の独り言』 野良猫ノーブル

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吾輩は野良である。名前はあったが忘れた。
そんな吾輩は、雨をしのぐために一軒の民家の軒先に這入った。
そこの住人の老婆とは特に親しくもない。
吾輩は野良であり、自由で誇り高い。人に囲われて愛想を振りまく輩とは違うのだ。
だから、吾輩の出で立ちに勝手に何かを感じて、気の利いたミルクやまぐろフレークを献上してきても、それは人間の勝手であり、自己満足に過ぎないのだ。
しかしまあ、互いにそこそこの年だ。寂しさを紛らわすのに少しだけ、吾輩の高貴なニャンとも言い難い毛皮を撫でさせてやらぬこともない。
だがやはり、吾輩は自由な野良。馴れ合いはしない。
それでもまあ、雨が酷くてどうしても仕方のない時は、この人のよさそうな老婆の所を仕方ニャアく訪れてもいい。
老婆が何か独り言を言っている。
「またいつでもおいで」
クールに顔を反らし、吾輩もまた雨のあがるのを待ちながら独り言をもらした。
「ありがとう、ニャ」
ファンタジー
公開:19/06/26 20:39

とーしろさん

はじめまして~。
いつだって初心で、挑戦者のこころでぶっ込みたい素人モノ書きです。

沢山の方々に支えられ、刺激を与えられ、触発されて今日ももちょもちょ書いております。
一人だけでは生み出せないモノがある。
まだ見ぬステキな創造へ、ほんの少しずつでも進んでいきたい。

ショートショートというジャンルに触れる切っ掛けをくださった、
月の音色と大原さやかさんを敬愛し感謝しております。

興味をもって読んでくださる全ての方にも、ありがとうございます~^^

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