猫と閑古鳥

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妻が猫を拾ってきた。
俺は溜息を吐いた。ウチには猫を飼う余裕なんてない。
「この子、元ノラだし餌は自分で何とかするわよ」
楽観視する妻。まあいい。好きにさせよう。猫もウチに餌がないと分かればすぐに出てくだろう。

ある日、猫が見慣れない鳥を捕まえていた。
こいつは何だ?近所の獣医に聞いてみた。
「こいつは閑古鳥じゃないか!良かったな。これで貧乏から抜け出せるぞ」
喜んでくれる獣医に俺は閑古鳥を治療するよう頼んだ。
俺は職人だ。「猫が閑古鳥を捕まえたんでウチは裕福になりました」じゃ、格好がつかん。閑古鳥の始末は俺がつける。
その日から俺は猫に餌をあげるようになった。もう閑古鳥を襲うんじゃねぇぞ。

その日からウチは少し賑やかになった。
エサをねだる猫と職人である俺の掛け合いを見たくてやってくる客。ここは俺の腕の見せ所だ!
こう騒がしいと閑古鳥の声も聞こえねぇ。閑古鳥はウチから巣立ったようだ。
公開:19/06/24 18:41

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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