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渋滞とは無縁の新幹線での移動は快適だった。
鎌倉の紫陽花はすでにゾンビのような頭を抱えて、夏を待っている。
ラジオからは季節外れの桜が流れて思わずイヤホンを外した。
卒業の苦い思い出が喉元までせりあがる。
君はあの初詣で何を願ったのか。俺の未来には確かに君が存在した。
イルミネーションは俺の煩悩を笑った。
君の声が聞きたい。笑顔を見たい。
叶わぬ思いが押し寄せた。どうして俺は彼女を裏切ってしまったのか。
お帰りと声がした。
振り向いた俺の胸を彼女が突いた。
あるはずの無い笑顔がそこにはあった。
願いは叶った。
命と引き換えに。
ホラー
公開:19/06/25 23:41

よもつひらさか( 山の中の森 )

短編小説を主に書いています。
収録作品
「五分後に驚愕のどんでん返し」ー記憶喪失ー(河出書房新社)
「ためしに怪談聞いたら、やっぱり幽霊いるし怖すぎた。」ー探し物ー(竹書房)
「千人怪談」-さよちゃん-見られている-(二作品) (竹書房)
「5分後に緊迫のラスト」-マリッジブルー(河出書房新社)
書店、Amazonにて発売中
「エブリスタ」投稿しています。
第10回ノベリスタ大賞 最優秀賞受賞「ヤマモトヒロシ」
「怖話」にて怖い話を投稿しています。
 

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