かぎしっぽの伝書猫

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あたしは伝書猫。
この町でお手紙を届ける仕事をしてるの。
だけどね、伝書猫なのに、あたしは“ホウコウオンチ”。道がわかんなくなっちゃうの。だから、いつも怒られてばかり。みんな言うの。「あの子がお父さんのように“ユウシュウ”じゃないのは、“カギシッポ”で変だからよ」って。

ある日、あたしはMさん宛ての手紙をIさんの家に届けちゃったの。お父さんにたくさん怒られた。
数日後、あたしは仕事をサボった。どうせ、あたしはダメだからって。
すると、ある女性があたしを見つけて言ったの。
「あ、幸せの伝書猫ちゃん」って。
「猫ちゃんがね、私宛ての手紙をMさんに届けてくれたおかげで、私はMさんと出会えたの。猫ちゃんのしっぽは、幸せを呼ぶ“かぎしっぽ”ね」



あたしは、伝書猫。
宛先を間違えるし、“ユウシュウ”じゃないの。でもね、あたし“幸せ”を届けられたんだ。それがあたしの誇りなの。
その他
公開:19/06/25 22:45
更新:19/06/28 12:22
猫ショートショートコンテスト かぎしっぽの 伝書猫 彼女の誇りは 幸せを届けられたこと 間違いが紡いだ 幸せと愛

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人3年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



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