久助の意地

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毎年、祭りが近づくと神社境内に屋台が並ぶ。
母に貰った500円玉を手に、楽しみにしていた。
でも嫌いなノブタにじゃんけんで負けて
取られてしまった。
母にはもう一回くれとは言えなかった。
そんな困った時、飼い猫の久助に話しかけるのだった。
「おまえが招き猫なら、500円稼げるよな」
久助は顔を洗った。そして鳴く。
朝目覚めると、枕元にそれはあった。
ちょこんと座る久助。
にゃあと大きく鳴いた。
だけど、それはノブタがポッケから落としたのを咥えて
取ったのだった。
猫の意地というのがあったのか、追いかけられてもしっかり咥えて。
ノブタの母親が来て言った。
「お宅の猫は泥棒よ」
祭りの日。
久助は散歩の途中の道でトラックに撥ねられ潰れた。
口には500円玉を咥えて。
「馬鹿野郎」
地面に埋めて言った時、
「にゃあ」
と大きく鳴いている声が聞こえてくるようだった。
その他
公開:19/06/25 22:17
更新:19/06/25 22:22

小脇 進( 埼玉県 )

小脇 進と申します。
まだ小説も、ショートショートも書くのは初心者です。
※最近は詩作を中心に活動しています。

「分かってないなあコイツ」
と思っても、温かく見守っていて下さい。
よろしくお願いします。
                                                                               
2019年5月19日(日)17時55分頃より始めました。
以上です。

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