プラナリアの死体

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「ねえ、生命の定義って知ってる?」
彼女はそう言った。僕はわからないよと言った。
「一つはエネルギー代謝能力がある、そして、細胞構造を持つ。そして、もう一つは?」
そんな難しいことは僕にはわからない。静かに首を横に振る。
僕らの目の前には、飼育しているメダカの水槽、そしてそれはひどく汚れていた。
彼女はその水槽に手を入れてヌルリとしたそれを取り出した。
「自己複製能力」
そう言うと彼女はそのヌルリとした物の頭をカッターで真っ二つに切り始めたのだ。
そいつはプラナリアというらしい。彼女の残酷な横顔を僕は愛している。
「君もこんな風に再生できたらよかったのにね」
彼女は微笑むと僕の体に冷たい土を被せ始めた。
ホラー
公開:19/06/25 21:44

よもつひらさか( 山の中の森 )

短編小説を主に書いています。
収録作品
「五分後に驚愕のどんでん返し」ー記憶喪失ー(河出書房新社)
「ためしに怪談聞いたら、やっぱり幽霊いるし怖すぎた。」ー探し物ー(竹書房)
「千人怪談」-さよちゃん-見られている-(二作品) (竹書房)
「5分後に緊迫のラスト」-マリッジブルー(河出書房新社)
書店、Amazonにて発売中
「エブリスタ」投稿しています。
第10回ノベリスタ大賞 最優秀賞受賞「ヤマモトヒロシ」
「怖話」にて怖い話を投稿しています。
 

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