肉キュン

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今日はカンカン照りだった。こんな日は日陰でのんびり寝そべってりゃ良かったんだ。でもなあ、オイラを呼ぶ色っぽい鳴き声がしたもんだから、つい外に出て熱々のアスファルトの上を走り回っちまった。
声の主は見つからねえわ。挙句の果てにこのざまよ。
おいらは畳に寝そべりながら、火傷でヒリヒリしてる肉球を舐めた。
ママさんがやってきた。
「あら!フクったらまた火傷して帰って来たのね。ちょっと待ってなさい」
ママさんは台所に行った。肉球の素を取り出すと鍋でトロトロと煮て、肉球型に入れ、冷蔵庫で数時間冷やす。
オイラは待っている間ウトウト。
「ほら、出来たわよ」
ママがオイラの肉球をポンポンと手際よく外して、出来立ばかりの冷たくてプルプルの肉球をつけてくれた。
「予備は冷蔵庫に入れとくけど、もう焼けたアスファルトの上は走っちゃダメよ」
おいらはファーイと返事をして、きゅんと冷たい肉球を枕にまたウトウトした。
公開:19/06/25 18:46
更新:19/07/09 15:00

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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