雨の独り言

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銃弾が雨のように降り注ぎ、爆弾で巻き上げられた土砂が暴風雨のように体を叩きつける。
ああ…ついに俺も死ぬ時が来たようだ。
自身の体を見下ろす。そこには多くの戦争で出来た傷が生々しく残っていた。
銃弾の痕。ナイフの痕。火傷の痕。様々な傷痕が俺の体に刻まれる中、一際大きな傷痕が目に入った。
俺の頬には手のひら大の紅葉マークが痛々しくも刻まれている。これは妻に付けられた傷だ。
「また戦争!バカじゃないの!今度こそ本当に死ぬよ!」
それでも戦争に行くと言った俺の頬を妻は全力で叩いた。
「もう知らない!二度と帰ってくるなバカ!」
今回もまた怒鳴られたな…しかし分かっているんだ。ここで『戦争が終われば妻が待っている』なんて言葉は死亡フラグだ。だから妻はあえて俺に厳しい言葉を浴びせたに違いない。
そうと分かればこの銃弾の雨を潜り抜け、気は強いが寂しがり屋の妻の元に早く帰るとしよう。
公開:19/06/25 18:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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