陽だまり

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私はパパとママに捨てられた。妹が生まれるから私はもう要らないんだって。
車で遠い所に連れていかれたの。悲しくて怖くて畑の中で泣いていると、急に頭を撫でられてビックリした。白いヒゲのおじいさんだった。
「捨てられたのか」
「うるさい!あっち行けよじじい!」
私は噛みついた。
「うちで暮らせばいい」
その日からおじいさんと私の暮らしが始まった。
おじいさんは私と一緒にご飯を食べ、お風呂に入って、一緒に寝てくれた。
私はおじいさんの優しい声や、温かな身体のその匂いが好きだった。おじいさんが大好きだった。
暖かな陽だまりのような、穏やかな日々。だけどやはり終わりは訪れる。おじいさんは病気で死んでしまったのだ。
「おじいさん、置いていかないで」
泣き続ける私をひとりの少女が抱きあげた。
「わあ、可愛い猫」
少女はおじいさんそっくりだった。
おじいさんの写真の前、和室の陽だまりが、私の新しい居場所だ。
その他
公開:19/06/25 10:46
#おじいさん

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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