そう、またね

6
12

甘栗!剣道の試合勝つね!

甘栗は僕の大事な猫だった。
ペット霊園の前を通る度に、僕は声をかけていた。

甘栗!生物部入ったよ!
甘栗!東京の大学にいくね!

そして僕は東京の大学に入り、念願の動物医になった。毎日沢山の動物を治し、見送り、そんな日々に忙殺されていた。

ある日家のドアを開けると、見知らぬ一人の少年が立っていた。

「今、何してるの?」

無視して去ろうとした。すると少年はドングリを僕に手渡してきた。

「これ投げて」

これで気が済むならと通りの角に思い切り投げた。すぐに少年はドングリを追いかけた。

そうだ。
昔の記憶が蘇った。
この遊び。甘栗だ。

僕は少年を追いかけ、角を曲がった。しかしそこには誰もいなかった。

甘栗。

僕は叫んだ。

「甘栗!今、お前の仲間助けてるんだ!」

声は空にかき消えた。

言ってない事が沢山ある。
週末、久しぶりに会いにいこう。
ファンタジー
公開:19/06/25 07:36

たらはかに( 日本 )

たらはかに

https://twitter.com/tarahakani
猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容