エネル猫

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新しいアパートに入居した初日、猫がやってきた。透明な硝子の中に電子の光が輝く、変な猫だ。
『当アパートはエネル猫と専属契約しております。猫のお世話と電力供給は各自でお願いします』
なんてすごい丸投げなんだ。びっくりだ。
硝子の殻にフィラメントを有したエネル猫は、橙や黄と気まぐれな色温度で発光していた。体内で放電されたエネルギーは床や壁を介して供給された。電気を消すと省エネモードになり、フィラメントが脈打つように灯るだけになる。抱きしめれば暖かく柔らかい。不思議な生き物だ。
「何食って生きてるの」
喉を撫でると、猫はゴロゴロ鳴いた。
それはすぐに判明した。アパートに落雷が直撃したのだ。猫の体が割れ、消えてしまった。
「静電気や微量な雷を食べるのです。別の猫を派遣します」
別の猫なんて。落ち込んでいると、ニャンと声がした。切れた部屋の電球にエネル猫がいる。手を伸ばすとじゃれついて明るく輝いた。
ファンタジー
公開:19/06/25 00:06
更新:19/06/26 10:42

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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