ふたご

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ステージの上で
輝くあいつとあいつの熱狂的なファン達を置いて
孤独の中に帰る。
かってはゼロ距離だった俺たちの距離は
もはや月と地球ほど離れてしまった。
おれはまさにすっぽん。いや、カエルか。
ニキビだらけの顔をペンダコやイボでカサカサになった
手でかいて苦笑する。

四畳半の狭い部屋に書きかけの原稿とくしゃくしゃに丸めた紙
が所せましと散らかっている。
俺もいつか輝くときが来るのだろうか。
出版社に原稿を送っては断られるのも数十回。
食事を一日一回に減らしてなんとか食いつなぐ
不安と恐怖に押しつぶされるのを振り払うように
原稿に向かった。

――まだ起きているのか。
見上げた先には机に向かいしきりに手を動かす影が見える。
手に持ったパンパンに膨れた封筒をそっとポストに入れた。
いじめっ子に、時には親に壁となって前に立ちはだかってくれた
雄姿は今も覚えている。
今度は僕の番だね。
その他
公開:19/06/23 13:38
更新:19/06/23 13:47

ばめどー

ぼちぼちやっていこうと思います。
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