にゃん十億光年の

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群れることはあまり得意ではなかった。まるで孤独を感じない訳ではない。孤独が好きなのかと問われれば嫌いではないが、時にふれあいを求めることもある。それは同じ毛のものであろうとなかろうと。
いつだったろうか、ぼんやりと光る四つ足の生き物と遭遇した。とても弱い光だったけれど、ちょうど太陽の隠れる時間だったから、俺はなんとかそれを認識することができた。この辺では見かけることのないつるつるの身体でパペポピポと鳴いた。俺はニャアと鳴いた。続いて、ピポピポパと鳴くものだから、俺はゴロゴロと喉を鳴らした。すると、あいつは光を増した。僅かな変化だったけれど、思わず目を閉じた。次の瞬間には残光があるのみ。
あれから空を見上げることが多くなった。光を放つものと言えば夜空に浮かぶものと考えたから。まばゆい星々の隙間に僅かな光を放つあいつが隠れているようで。何十億光年の彼方まで届くように俺はニャンと鳴いた。
SF
公開:19/06/23 13:10
更新:19/06/25 22:24

puzzzle( 神奈川19区 )

作文とロックンロールが好きです。
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