テロリストの歌

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 天気予報は全滅した。
 人々は毎日、不安な日々を送った。
 そんな中、SNS上に『犯行声明』が掲載された。その内容は信憑性に乏しく悪戯と思われたが、社会の動乱に乗じた悪質な冗談は許しがたい。警察や公安には厳しい対応を命じた。と政府は発表した。以下がその犯行声明である。

「気象衛星は軍事スパイ衛星であって、天気予報の為というのは建前。実態は国民監視衛星である。では天気予報の実態とは?
 地球上の七箇所に『世界公準水』が厳重に保管されている。各地域には、この公準水が分配され、各々の状態を24時間体制で監視している。気体、液体、固体の三態の無段階での変容の程度が、その地域の天候にリンクする。
 天気予報が全滅した理由は、私がこの『世界公準水』を汚染したからだ。つまり、私の歌を聴かせたのだ。
 水とは空間の振動体だ。私の歌の振動が公準水の振動数を不活性化させたのである。みんな。俺の歌を聴け!」
SF
公開:19/06/23 10:31
書き出しだけ大賞 二期

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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