230. 先輩ありがとう…

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この会社での仕事は正直楽しくなかった。女の同僚は一人だけ。しかも15も年上で、優しいけど私は行き遅れのお局とずっと軽蔑していた。そんなある日の昼休憩でのこと。
「実は私、結婚して会社を辞めるの。突然驚かせてごめんね。でも式には来てもらえるかな?」
ショックだった。いつここを辞めてやろうかとずっと思っていたのに。だがほぼ身内だけの簡素な式になるとのことで、世話にはなったし結婚を祝ってから辞めよう、改めてそう考えた。
当日式に出席後、披露宴会場に移動して待っていると司会の人に中止を告げられた。先輩は数年前からガンに罹患しており、容態が急変したというのだ。ウソ…知らなかった…。呆然としていると携帯が鳴った。
「もしもし沙羅ちゃん?今日は来てくれて本当にありがとう。そしてごめんね。電話をしたのは私のブーケを貴女にどうしても貰って欲しくて…取りに来てもらえる?」

私の目の前は涙で滲んでいった──。
その他
公開:19/06/23 09:00
更新:19/06/23 01:29
スクー 上司からの電話ブーケトス

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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