白い月に希う。

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今日も空を見る。
暮れなずむ前の、まだ明るい空。
東の空に白い月がうっすら見える。

走り回るほど元気だったのに。
母親のお腹にいる頃から愛情を注いできた。
お風呂のフタで寝そべったり、ご飯くれと鳩尾にダイブされたり。
悪戯好きの可愛い子。
それが、急に医者も匙を投げる状態になった。
自分には撫でる事しか出来なかった。

逝ってしまった。

目が腫れてヒドイ顔になった。
呼吸さえままならなくなった。
そんな時、昔言われた事を思い出した。
「白いお月様の裏側に、旅立つのよ」
「黄色いお月様じゃなくて?」
「黄色いお月様は、あなたを見守っているの」
「聞きたい事、言いたい事は、白いお月様にしなさい」
だから、空を見た。
もう苦しくない? 走り回れてる?
幸せだった? また、逢える?
いつか行くから、もうちょっと待ってて。
ギュッと抱きしめるから。

希う。
ぽっかり浮かぶ白い月に。
その他
公開:19/06/23 00:22

ibara_hime

文章を削る練習をしています。
妄想は得意。感想は苦手。   ・・・・・・です。

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