この本を最後に読んだ者は死ぬ。

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 この本を最後に読んだ者は死ぬ。

 僕が「この文章が書いてあった本って何だっけ?」と尋ねてみたら、みんな口々に、あったねぇ~。絵本だっけ? 学級文庫にあったよ。母が持ってたよ。などと言い始めた。

 でも、最後に読んだ者って何だろう?
 チェーンメールみたいなことじゃない?
 セコいなぁ。
 でも、誰が最後か、どうやって分かるんだろ?
 この本が一冊でも存在する間は、永遠に決まらないものね。
 文化大革命みたいなので焚書とか…
 なら、死ぬのは検閲官だ。
 その人が「最後に読んだ本」ってことかな?
 それだとちょっと、ズルい感じがするけど。
 「この」本そのもの、かな。手にしたそれぞれの…
 じゃ、読んですぐ捨てたら、その人は死ぬってことか。
 そか。それでお袋死んだんだ。断捨離にはまってたから。

 この本を最後に読んだ者は死ぬ。
 「そんな本知らないよ」で終わる嘘の筈だったのにな… 
ホラー
公開:19/06/24 15:44
更新:19/07/04 19:50
書き出しだけ大賞 二期

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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