231. 美術の先生

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新任の美術の先生は猫だった。
初めての授業では、先生の自己紹介の後、クラス全員に自己紹介を指示したが、五人目の時絵筆で遊び始め、九人目で窓際に移動し日向ぼっこを始め、気づいたらにゃうにゃう寝言を言っていた。
それでも校長に文句を言いにいく奴はおらず、コッソリ頭をナデナデする奴、目覚めた時に気に入られようと自販機でミルクを買ってくる奴、裏門から抜け出してコンビニでカリカリを買ってくる奴なんかも出てくる始末だった。
二回目の授業で猫先生は、自分の似顔絵を描くように指示した後、やはり丸まって眠りについた。
俺たちは苦笑しつつも、その愛らしさに鼻の下を伸ばし懸命に絵を描いた。
チャイムの5分前に奇跡的に目覚めた先生はその似顔絵を集めると、口に咥え満足そうに出て行った。週明けの授業で採点されて帰ってきた用紙には、髭の角度や毛の色が違うという指摘ばかりだったが、先生の直筆肉球サインに皆笑顔ににゃった!
ファンタジー
公開:19/06/24 08:00
更新:19/09/02 02:39

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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