猫電池

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僕は猫電池を買って帰宅した。

「早くお風呂掃除してくれる!」

嫁の怒鳴り声が聞こえた。僕はいそいそと部屋に戻った。
そして僕は猫電池のパッケージを開けた。4cmほどの大きさの猫がにゃりんと出てきた。僕は三毛猫と白猫を取り上げ、時計の電池ケースに入れた。二匹は体をピンと伸ばし、+極で前足、―極を後足で支えた。すると時計の秒針は動き出した。

確かに電池だ。
僕は風呂の掃除に向かった。

一時間ほどして部屋に戻り、時計を見ると5分しか進んでいなかった。さすが猫電池、気まぐれだ。時計には使えないなと僕は時計から猫電池を取り出した。

その後、僕は嫁にこそこそ近づき、嫁の背中の電池ケースを開けて猫電池を入れた。少しはかわいく猫撫で声でも出してくれるといいが。

「あなたぁ、たまには一緒にお酒でもぅ」

お?やるな猫電池。

「用意しといて!おつまみも!!」

嫁はソファで丸くなった。
その他
公開:19/06/23 20:59
更新:19/07/07 17:37

たらはかに( 日本 )

たらはかに

https://twitter.com/tarahakani
猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。

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