雨の独り言

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今日は雨。こんな日は客足も少ない。
喫茶店を経営してる私は珈琲豆を多めに挽くと時間をかけてじっくりと蒸らし始めた。店内に濃厚なコーヒーの香りが充満する。
この味、普通の客なら濃すぎる・苦すぎるとクレームが出るだろう。しかし、私はこの味が好きだ。
誰もいない物静かな店内にジャズでも流しながら珈琲と読書を楽しむ。これが大人の嗜みだ。
読みかけの推理小説を開き、読書に没頭しようと思ったその時、客がやってきた。
「オーナー。その珈琲、俺にもくれ!」
昔馴染みの客だ。時間と金ばかりがかかる私好みの珈琲をわざわざ頼む酔狂な客である。
私は時間をかけて珈琲を淹れ始めた。
馴染みの客もまた本を読みながら珈琲が来るのを待つ。
そうしている間にどんどんと昔馴染みの客がやって来る。
まったくこいつらと来たら…晴れの日は来ないのに雨の日の珈琲目当てにやって来る。
しかし私はこんな時間も好きだ。学生時代を思い出す。
公開:19/06/23 18:25

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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