雨の独り言

私は趣味でカタツムリの殻を集めては綺麗に洗い、部屋に飾っている。
そして時折、殻を耳に当ててはそこから聞こえる雨の音に心躍らされる。
海で拾った貝殻から波の音が聞こえるように、カタツムリの殻からは雨の音が聞こえるのだ。
小さな殻からはぽつりぽつりと。中くらいの殻からはしとしとと。大きな殻からはザーザーと。
カタツムリの殻から聞こえる雨の音は全部違う。それに耳を傾ける時間が私のお気に入りだ。
ただ、カタツムリの殻は寄生虫の危険性もある為、耳に当てる前には入念な洗浄が必要だ。
以前、洗浄を怠った私はカタツムリの殻を耳に当て、恐るべき音を耳にした。
地球の泣き声だ。痛い痛いと、苦しい苦しいと悲鳴を上げていた。
翌日、私の耳は大きく腫れ上がり、数カ月何も聞こえなくなった。
それ以来、私は殻をしっかり洗うようになった。
地球の声なんてもう聞きたくない。
耳に痛い言葉は遠慮したいのが人間だから。