傘マーク

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「ケンタ、今日の天気は?」
「傘マーク。あと少しで降り出すかも」

タブレットで天気予報を見られるようになったから、僕はすこし自慢げに答えたんだけど、前を歩く父さんは怖い顔で振り返った。

「大丈夫だよ。すぼみ傘だったし」
「甘く見るな!ついてこい」

結構本気のダッシュだ。でもそのおかげで、近くの建物にたどり着いたとたんに降り出したんだ。

傘が。

…嘘だろ。マークと同じ形のすぼみ傘が地面に突き刺さっていく。

「どうしよう。このあと本降りだよ」
「ってこたぁ、傘は開いてたんだな」

しばらくすると、落ちてくる傘のいくつかが開き始めた。ふらふらと揺れる数は増え、空をカラフルに染め上げていく。

「きれい。でも、このあとまた…」
「じゃ、今のうちだな」

父さんは落ちてきた傘をダイレクトでキャッチして、そのまま走り出した。待ってよ。僕も真似して傘をひとつ掴み、大きな背中を追いかけた。
ファンタジー
公開:19/06/21 13:43

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