神様のお絵かき

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これは昔々のお話です。
北半球の天界に住む神様が幼い子どもだったころ、お母さんから黒いパピルス紙と葦ペンを与えられ、人間たちが住む下界にあるものを白いインクで描くように言われました。
好奇心旺盛な神様は、お絵かきをして遊ぶようになりました。もともと利発だったこともあり、最初に中心となる点、そして、その周りに無数の点を描き、点と点を線でつないで絵の輪郭線を描画し、地球上の生き物や道具などを描いていきました。
ある夏の日、神様は喉が渇いたので、牛乳瓶の蓋を開けて飲もうとしたところ、ちょうどお絵かきをしていた紙に牛乳を零してしまいました。
牛乳は、神様が描いた白鳥や鷲、琴のあたりに零れ落ち、南北へ白い道のように流れました。すると、乳白色に光り、これを見たお母さんは「ミルキーウェイ!」と驚嘆の声を上げました。
こうして北極星や数多くの星座、天の川が出来上がり、夜に輝く満天の星空が誕生したのです。
ファンタジー
公開:19/06/21 11:12
星座、星空、銀河、北極星、神

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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