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 ホテルからはそのままゴンドラ乗場へ。そこから山頂まで約2キロ。白樺林やコースを眺めながら少しずつ期待と緊張は高まっていく。降り立った先に待っているのは、言うまでもなく白銀の世界。紺碧の空の下、仲間たちの歓声は僕を追い越し、舞い上がる雪はきらめきを放った。
 
 ホテルのメインダイニングでのディナー。
 薄明りの照明の中、テーブルにはキャンドルの炎が揺らぎ、仲間たちの談笑は僕をいっそう寡黙にさせた。
 高く大きな窓の外は、月明かりのドレスを身に纏い、妖艶に変身した銀世界。
 ゆっくりと舞い降りる粉雪は、これからの行く末を迷うように見えた。
 それは粉雪が、あの時の君の頬を伝わる涙の速さと同じだったからかもしれない。

 君のいない旅。高原の明日の天候は晴れ。
 最高気温マイナス2℃。最低気温マイナス10℃。
 積雪は210センチメートル。
 それくらいの感傷に僕は飲み込まれていった。
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公開:19/06/22 19:32
更新:19/06/22 19:36

android秀

「ピンクの招待状」にて 第1回izure大賞入賞

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