「猫股猫」

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私はこの世を長く生き、先祖と同じく尻尾が二股になった猫です。
一目見たら分かるので、猫界でも一目置かれています。
先祖の中でも、一族からご先祖様と敬われているのが化け猫様です。
現在の東京が江戸と言われていた頃、ご先祖様は戯作者と長い間、貧乏暮らしをしていました。
戯作者はご先祖様を毎日観察していて、ある日大あくびの顔が凄く恐ろしかったので、化け猫芝居を書こうと思いつきました。
出来上がった作品が劇場で演じられると大入りとなり、その浮世絵も飛ぶように売れました。
お陰で戯作者は御殿のような屋敷を建て、ずーと仲良く暮らせました。
福を招いた化け猫様が私の誇りです。
私も二股猫の子孫として、猫以外にもう一つの才能を発揮すべきと考えました。
今私が住みついている所の人間達は、ねずみをマウスと言って手の中で大事に撫ぜています。
いつかその役を私がしてキャットと呼ばれるよう、日々爪を磨いています。
その他
公開:19/06/22 19:25
更新:19/06/22 19:43

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