10年メール

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 あの日の大災害の影響で、メール中継サーバーから送信されていないメールがあることが分り、10年ぶりに送信された。

「やっとあの人のことを忘れられたのに」
「今更10年も前のメールを送られても困るよ」
 さまざまなクレームが寄せられた。
「申し訳ございません」
 10年メール相談室に配属された僕は謝ってばかりだった。
 もちろんクレームばかりではない。
「あの人は最後まで私たちのことを心配し、愛してくれていたことが分りました」

 仕事が落ち着いた頃、僕は休暇を貰い旅立った。
 アナウンスが流れ、見覚えのある空港が見えてきた。
 10年前、その頃の彼女が住み、僕が留学先に向かった空港。その時僕は彼女にプロポーズをするつもりだった。でも彼女は来なかった。振られたのだと思っていた。
 でもそれは誤解だった。僕は時間を巻き戻し始めた。
 僕にも彼女からの10年メールが届いたのだ。 
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公開:19/06/22 19:21
更新:19/06/22 19:36

android秀

「ピンクの招待状」にて 第1回izure大賞入賞

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