同業者

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「仕事のできる同業者かな」
後輩に好きなタイプを聞かれて、意地悪でそう答えた。
「じゃあ俺にもチャンスありますね」
「君はもっと修行しないと」

まだ他の人には知られていないが、私には彼氏がいる。仕事のできる同業者の。そして今日は私の誕生日。その彼が家に来ているから、早く仕事を終わらせて家に帰りたかった。後輩の質問を適当にあしらって、私は仕事を再開した。ようやく仕事が終わって帰ろうとしたら、サプライズでケーキなんて出されるもんだから、家に着くのはかなり遅くなった。

「ごめん!お待たせ!」
「誕生日おめでとう!今日の仕事はどうだった?」
「前回がうまくいっただけに、みんな気合入ってて。肩こっちゃう。そっちは?」
「こっちも撮影長引いてさー。だから、俺もいま着いたんだ」
「ほんと?顔にアトついてるよ?」
「あ…」

私の彼は、仕事のできる同業者。だけど、さすがの彼も寝起きの演技は下手だった。
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公開:19/06/22 11:38
更新:19/06/22 11:40

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