Ep.8 「世直しニャンコマン」

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「これ近所じゃない?」
ニュースを見て母が言った。連続ひったくり犯逮捕。確かに近くの商店街だった。犯人には不思議なことに額に焼かれたような傷跡があり、「黒猫の目が…」と意味不明の供述を繰り返しているそうだ。

次の日。残業を終えた私は暗い夜道を歩いていた。街灯も少なく、「チカンに注意」なんて看板もある。通りたくないけど、ここは近道だから仕方ない。
その時だった。不意に闇の中から黒猫が現れて、金色の両目がキラリーンと光った。
眩い光に私は小さく悲鳴を上げた。直後、私の後ろで「ぎゃああ!」と男の悲鳴がした。
こんなに近くに人がいたなんて。
驚いて振り返るとロングコートの男が両手で額を押えて悶えていた。
チカンだ。危なかった…。
黒猫はそれを見届け、「ニャオン」とひと鳴きして暗闇に溶けた。

正義の黒猫が猫ビームで悪人を退治している。
そんな不思議な噂が広まったのは、それから数日後のことだった。
ファンタジー
公開:19/06/20 06:00
更新:19/06/20 05:11
カリカリ町は猫びより

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
SSGで書き始めてから、もうすぐ2年。ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算21回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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