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「ソラ、今日雨降る?」
飼い猫ソラの天気予報はピタリと当たる。テレビの予報なんかより頼りになると私は思っている。
ソラはヒゲをヒクヒクさせてから、前足を舐めて顔をこすった。グルーミングと呼ばれるこの仕草をする時は必ず雨が降る。猫は気温や湿度の変化に敏感なので、重くなったヒゲの手入れをしているらしい。
「ありがと」
ソラの頭を撫でて、傘を持って家を出た。
その日は午後から雨が降った。

ある日の朝、天気を聞く前にソラがしきりに顔をこすっていた。
これは大雨になるに違いない。
私はいつもより大きめの傘を持って家を出た。
しかし、その日はずっと青空。こんな日に傘を持ってるのは恥ずかしかった。
ソラに文句言ってやる。
そう思っていた帰り道、見知らぬ猫とデートしているソラを見つけた。
そうか。あれはただのおめかしだったのか。

ソラ、頑張って。

私はソラに気づかれないよう、隠れるように傘を広げた。
ファンタジー
公開:19/06/20 06:00
更新:19/07/08 22:46
カリカリ町は猫びより

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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