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魚勝は今日も朝から閑古鳥。近頃出来た魚屋に客を取られていると知った女房は偵察に出掛け、店先の光景に驚いた。沢山の猫が魚を美味そう食べている。こっそり話を伺うと、とんでもない噂が広まっていた。
売り物にならない魚を猫がこんなに美味そうに食べるということは、売り物の魚は美味いに違いない。それに比べて魚勝の魚はどうだ。店の魚に猫一匹寄ってこない。猫が跨いで通るほど不味い魚なのさ、と。
こうしちゃいられない。
女房はすぐに主人を焚きつけた。
「こっちも猫に魚をやるんだ。負けてられるかい!」
よし、と主人が膝を打ち、魚勝の店先にも猫用の魚が置かれた。すぐさま町中の猫が魚勝に集まった。
これで勝ったと思ったが、それを見て集まってくる客は何故か魚を買ってくれない。
「なんで買わねぇんだ?」
主人の疑問に女房がはたと気づいた。
「バカ!立派な魚を猫にあげちまって、店には傷物の魚しか残ってないじゃないか!」
売り物にならない魚を猫がこんなに美味そうに食べるということは、売り物の魚は美味いに違いない。それに比べて魚勝の魚はどうだ。店の魚に猫一匹寄ってこない。猫が跨いで通るほど不味い魚なのさ、と。
こうしちゃいられない。
女房はすぐに主人を焚きつけた。
「こっちも猫に魚をやるんだ。負けてられるかい!」
よし、と主人が膝を打ち、魚勝の店先にも猫用の魚が置かれた。すぐさま町中の猫が魚勝に集まった。
これで勝ったと思ったが、それを見て集まってくる客は何故か魚を買ってくれない。
「なんで買わねぇんだ?」
主人の疑問に女房がはたと気づいた。
「バカ!立派な魚を猫にあげちまって、店には傷物の魚しか残ってないじゃないか!」
ファンタジー
公開:19/06/20 06:00
更新:19/06/20 05:09
更新:19/06/20 05:09
カリカリ町は猫びより
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
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