猫を描く
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「それ、こたつ?」
画用紙に炬燵を描いていると、娘が尋ねた。
「……よし!」
完成した絵を、画材屋で購入した額縁に入れて、その日は床についた。
翌朝。娘と二人で絵を見に行った。
「ねむいよ……わぁ」
炬燵を白で塗り潰すと、白黒のブチ猫が額縁の中で丸くなっていた。
猫が現れる不思議な額縁に娘は夢中になった。猫にブチと名付けると、毎日餌を描き、食べる姿を愛おしく見つめていた。
しかし、前触れなくブチは来なくなった。
『他の額縁に行ってるんでしょう。野良ですから』
淡々と話す画材屋の言葉に娘は泣き出した。
娘のため、彼女がブチを抱っこしている姿を描くと、目を滲ませながら微笑んだ。
一週間後。
元気を失くしていた娘だったが、友達の家から帰ってくると「パパ、豆柴ほしい!」と言い出した。
あっけにとられ、あの日描いた絵を見ると、ブチを抱えた娘は額から姿を消していた。
額縁の絵は白紙となった。
画用紙に炬燵を描いていると、娘が尋ねた。
「……よし!」
完成した絵を、画材屋で購入した額縁に入れて、その日は床についた。
翌朝。娘と二人で絵を見に行った。
「ねむいよ……わぁ」
炬燵を白で塗り潰すと、白黒のブチ猫が額縁の中で丸くなっていた。
猫が現れる不思議な額縁に娘は夢中になった。猫にブチと名付けると、毎日餌を描き、食べる姿を愛おしく見つめていた。
しかし、前触れなくブチは来なくなった。
『他の額縁に行ってるんでしょう。野良ですから』
淡々と話す画材屋の言葉に娘は泣き出した。
娘のため、彼女がブチを抱っこしている姿を描くと、目を滲ませながら微笑んだ。
一週間後。
元気を失くしていた娘だったが、友達の家から帰ってくると「パパ、豆柴ほしい!」と言い出した。
あっけにとられ、あの日描いた絵を見ると、ブチを抱えた娘は額から姿を消していた。
額縁の絵は白紙となった。
ファンタジー
公開:19/06/20 23:13
更新:19/06/21 10:02
更新:19/06/21 10:02
猫
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
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