高度150センチメートル

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私は隣の友人をチラリと見上げ、つま先に力を込め直した。
「景色が違うなぁ」
10センチ高くなった景色は、空気が澄んで輝きが増したように感じる。
「そりゃ空気の層が変わってくると景色も変わるさ」
最近授業で学んだ単語が上から降ってきた。でも地上から10キロは対流圏内、空気の層は同じのはずだ。
「最近の研究でね、地上から100、160、180センチを境に空気中の水分量が違ってて、大気圏のようなものが出来ているらしいよ」
背が高いと見栄えがいいだけでなく、景色も綺麗に見えるのか。
「……やっぱり背が高い方がいいな」
自分の背の低さがさらに嫌になって、目線が下がっていく。

「そんなことないよ」
いつの間にか声は上からではなく、真横にあった。
「私はね、150センチの目線から見る夕暮れが一番好き!少し霞みがかって幻想的なんだよ。ほら」

私は友人の顔を見てからもう一度、前を向き直した。
SF
公開:19/06/20 22:30

灰谷 ハル

ショートショートが好きな一般人

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