RED PERCOLATION #50

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彼女を背負い、瓦礫を進む。

あの先を進めば彼女の好きな海があるはず。

喋らない彼女。寝息の一つでも立ててくれたら、まだ可愛げがあるのに。

海に出た。砂浜の上に彼女をおろす。

「モノ」なんてもう、とうにない。
手近の流木を使い穴を掘る。

何時間か、ひょっとしたら何日か。
文字通り、飲まず食わずで良くここまでの穴が掘れたと思った。

彼女をその中に入れる。

砂をかぶせ、穴を埋める。

埋め終わり、その上に寝転ぶ。

自分の使命を、やり遂げた、人生を、やり遂げた、
そう思った。

海を見る。

どうしてか、気付かなかった。

恐ろしい程に、病的な程に、美しい夕焼けだった。

こんな―。

地球がこんなになっても、まだ、ここまでの美しさを示すのか、神は。

どこか憎たらしいほど、そしてそれすらも包む神々しさ。
その夕日は全てを染めあげる。

赤に。

【RED PERCOLATION】
その他
公開:19/06/20 21:38

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