猫飼いたい

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「猫飼いたい」
と、父に言ったら、
「駄目だ」
と、にべもなく断られた。
「だいたい自分のことも碌にできないお前が、猫の世話なんか出来るわけないだろう」
「出来るもん。何よ、可愛い一人娘のお願いじゃない」

次の日の朝。寝ぼけ眼の私は、あくびをしたままの姿で固まった。
「何してんの、お父さん」
父は、居間の座布団で丸くなっていた。
猫耳と尻尾をつけて。
あー、おかげでおめめぱっちり。
「父ではない。吾輩はメロスである、にゃん」
「ちょ、なんか混ざってるけど。あ、お母さんお父さんが、ってスルー!?」
母は、こちらを見向きもせずに通り過ぎた。
「さあ、このメロスの世話がきちんと出来たら、猫を飼うことを許可しよう、にゃん」
父は、極めて真剣な目で私を見つめている。
かっわいくねぇ~。
「その猫耳と尻尾はどうしたの」
「昔母さんが使ってたやつだ」
「ぐはっ」
私は膝から崩れ落ちた。
挫けねえぞ。
その他
公開:19/06/20 19:35

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