雨が上がれば

私は雨が嫌いではない。雨が降ると虹が出るから。
虹の橋というものを知っているだろうか？
飼い主に愛されたペットは死後、虹の橋で飼い主を待つと言う。
私は虹が出る度に昔飼っていた猫のことを思い出す。私を深く愛してくれた可愛い子。
あの子が亡くなった時、私は泣いた。こんな辛い思いは初めてだった。

ある日の雨上がり、我が家の庭に一匹の野良猫がやってきた。
野良猫は私の背後をじっと見つめ、「うなっ」とあの子と同じように短い声で鳴いた。
もしかしてあの子の生まれ変わり？
…そんなことはなかった。野良猫はその後、「にゃ～」と鳴いてどこかに行ってしまった。
空を見上げると虹がかかっていた。ああそうか。あの子が私を心配して来てくれたんだ…

多くの人が死ぬのは怖いという。当然だ。私だって怖い。
でも私の死後、またあの子に会えるのならと考えるとちょっとだけではあるが死を受け入れる覚悟も出来てしまっている。