にゃん玉丼

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行きつけの飯屋に昼飯を食べに行く。
「にゃん玉丼始めました」という幟が立っていた。にゃん玉丼? カウンター席に座ってメニューを見る。

にゃん玉丼並350円・にゃんこ盛800円

「なんだい、新しいメニューかい? じゃあにゃん玉丼の並で」
「はいよ」
おやっさんがフライパンを火にかける。卵を割ると「にゃん」と声がした。
「おい、今鳴かなかったか?」
「にゃん玉ですからねえ」
にゃん玉? おやっさんが卵を箸でかき混ぜると、猫がゴロゴロと喉を鳴らすような音がする。
「おい、気味悪いじゃねえか」
「猫みたいに鳴くってんで、人気なんですよ」
「変なものが流行りやがる」
おやっさんが、熱したフライパンに卵液を入れた。
フギャアアアアァァァァーーーーー。
「ウワアッ!バカ怖えよ!」
「はい、出来上がり!」
ご飯の上でふわふわ美味しそうな玉子焼きが湯気を立て、

うにゃうにゃうにゃ。
文句を言っていた。
その他
公開:19/06/18 16:51

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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