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スーパーマーケット案内係の私は、年に3,4人の、しめじを買うか靴下を買うかでお悩みになられているお客様に、お声かけをすることがある。
お声かけの際に大切なのは、決してこちらから「決めつけ」をしないこと。
右手に483円の毛混靴下、左手に特選鍋用ぶなしめじ128円を持ち、交互に見ている高齢の婦人に対して、不躾に「eat or foot?」などと尋ねるのは慎まねばならないし「どちらもお買い得ですよ」などと勧めるのは無責任だ。
「お困りのことはありませんか?」
「あの、寒くなってきたものですから」
「そうですね。夕方には随分と気温が下がりますね」
「あたたかいものをと思いましてねぇ」
「お体を冷やしてはいけませんからね」
「あったかくして眠りたいものですから」
「疲れもとれますものね」
「朝もしゃんと起きられるし」
「温まるのが一番ですね」
「そうなのよ」
さて、このお客様はどっちだ…
お声かけの際に大切なのは、決してこちらから「決めつけ」をしないこと。
右手に483円の毛混靴下、左手に特選鍋用ぶなしめじ128円を持ち、交互に見ている高齢の婦人に対して、不躾に「eat or foot?」などと尋ねるのは慎まねばならないし「どちらもお買い得ですよ」などと勧めるのは無責任だ。
「お困りのことはありませんか?」
「あの、寒くなってきたものですから」
「そうですね。夕方には随分と気温が下がりますね」
「あたたかいものをと思いましてねぇ」
「お体を冷やしてはいけませんからね」
「あったかくして眠りたいものですから」
「疲れもとれますものね」
「朝もしゃんと起きられるし」
「温まるのが一番ですね」
「そうなのよ」
さて、このお客様はどっちだ…
その他
公開:19/06/18 14:25
書き出しだけ大賞
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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