マテリアルにゃん

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「夏はやっぱりリネン猫よねえ」
妻のリクエストに応えるべく、僕は『生地屋猫八』へ向かった。
「リネン猫はいるかな」
店主がリネン猫を連れてくる。
「このシャリ感!やはりこの時期はリネン猫が最高だなぁ。コットン猫の爽やかさも、シルク猫の滑らかさも捨てがたいけどねえ」
「ええ。夏はリネン猫が良く出ますねえ。ザブザブ洗えるコットン猫も、子供がいる家庭に人気ですよ」
「おお、もうウール猫の予約も始まってるんですね!」
「毎年冬は引っ張りだこですからねえ。そうそう、新しくきた猫が好評で」
「ほお」
僕はリネン猫と店主が勧めた新顔の猫を連れ帰った。
その夜、妻はリネン猫のサラリとした手触りにご機嫌だった。
「この猫は?」
妻がもう一匹の猫を見て不思議な顔をする。
「きっと気に入るよ」
僕は明かりを消した。
「素敵!!夏の夜にぴったりね」

にゃーん。
ネオン猫が鳴き、しなやかに光る身体をくねらせた。
その他
公開:19/06/18 12:31

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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