顔と金

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あら、あなたイケメンね。私の身体を触ってもいいわよ。その瞳で見つめながら、優しく撫でて。
私が求めるのは、顔と財力。どっちも大事。キスされるのはイケメンがいいし、美味しいご飯を毎日食べたいもの。
「いかがですか。この子美人さんでしょう。抱っこなさいますか?」
店のお姉さんが彼に言う。
「遠慮しておきます。売れ残りよりもあっちの子の方がいいな」
そう言って彼は行ってしまった。
……見る目がないのね。あんな子供よりも私の方がずっと綺麗なのに。
突然、目の前に別の男が現れた。
「うわー、可愛いなあ!抱っこしてもいいですか?」
超絶ブサイクきた!ムリムリ!だけど無理やり抱っこされる。やーめーてー。
「決めました!この子買います」
嘘でしょ。絶対ムリ!
「たまたま今、300万円持ってるんで、全部揃えちゃいます」
え。
「この子に最高級の猫缶を」
その日、都心のタワーマンションが私の家に決まった。
その他
公開:19/06/18 10:39
更新:19/06/18 18:14

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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