ねこのはなしごえ

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「人間というのは素晴らしい生き物だ。」
熱っぽく語る父親らしき人物とさもその通りだと大きく頷く利発そうな子供。
「言葉を発し、伝えることが出来るし、優しさを以てして繋がることも出来る。
他の動物には真似できまい。
知能がこれほど発達しているのは人間ぐらいだよ。
先の先を考えて動く、これが人間だ。」

にゃあ…

庭で日にあたる、2匹の猫が鳴いた。

□■□■□■


『人間って未だに口から音を出して意志疎通するのね。』
『人間って脳に語りかけられないの?』
『そうみたいよ。
ここまで下等な生物、今じゃ人間くらいじゃない?』
『こうすれば他に聞かれることもないのにね。』


□■□■□■


いつの間に私は寝てしまったのだろう。
猫が喋る、人間が下等。
そんなはずないではないか。

そんな私を嘲笑うかのように真っ黒な野良猫がこっちを見ていた。

「………にゃあ」
SF
公開:19/06/18 02:29
猫びより

すみはし

ホラーとミステリーが好きです。星新一が好きです。平山夢明が好きです。
ぽつぽつとつぶやくようにのんびり投稿できたらいいな。

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