10
12

 三毛猫のミィが亡くなるちょうどその時、気づかぬ間にこの部屋へ入り込んできていた黒い蝶が、その鼻先へ止まった。
 蝶はミィの鼻から頭頂部へひらり、と移動すると、ミィの鼓動が停止するのとほぼ同時に、羽根を広げたまま動かなくなった。
 ミィを迎えに来てくれたのかな?
 私はミィとその蝶を一緒に、一つの箱へ納め弔った。
 その夜の夢で、ミィは人間の言葉を喋っていた。白装束を着てなかったから、三途の川で止められ叱られたと、舌をぺろりと出した。

 翌朝、庭に迷い混んできた成猫はミィと同じメスの三毛猫だった。
 どこから来たの?と私が抱き上げると、尻尾をピンと立てた。
 戻ってきたミィと、一年という短い月日を共に過ごした。
 最期の日、モンシロチョウが部屋へ入ってきて、ミィの鼻先に止まった。

 あぁ、そう言えば前は黒い子だったけど、今度は白い子が白装束を持って、迎えにきてくれたんだね──。
ファンタジー
公開:19/06/20 09:00
更新:19/08/24 03:16

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容