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三人の中に一人だけ猫がいる。もし時間内に猫が誰なのか見破らなければ、人間は猫缶にされてしまう。

私は猫じゃないわ。
僕も猫じゃないよ。

二人は主張した。当然俺も猫じゃない。今まで黙っていたが俺は嘘を見破る能力を持っているのだと二人に告げた。そして、このマタタビに向かって自分が猫ではないと宣言してもらう事にした。まずは俺からだ。

俺は猫じゃ、ない。

私は猫じゃ、ない。

僕は猫じゃ、にゃい。

そうか男よ、お前か。口が滑った?もう遅い。終了の鈴が大きく鳴り響いた。そして三人で一斉に猫が誰なのかを指さした。お前だろ、猫は。二人に指さされた男は、消えた。

猫に勝ったんだ、人間は。咄嗟に思いついた嘘だったが解決につながりホッとした。女は笑顔で俺に近づき、もう安心ねと言わんばかりに俺の肩をポンポンと叩いた。

ぷにゅ、ぷにゅ。

え?!

俺は猫缶になっていた。
SF
公開:19/06/19 21:00
更新:19/06/21 21:49

たらはかに( 日本 )

たらはかに

https://twitter.com/tarahakani
猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。

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