ニャン魚

ハンターの俺は「ニャン魚」と呼ばれる魚を求めて海へやってきた。
聞けばニャン魚の傍には必ずその飼い主となる人魚がいるらしい。
正直言えば、ニャン魚なんてものはどうでもいい。俺の目的は人魚だ。
俺は人魚を捕らえ、一旗揚げる野望を持っていた。
仲間が何やら騒いでいる。ニャン魚が現れたか？
「大変だ！船がシャチに囲まれている！」
何だと！？シャチは肉食で海のギャングとも呼ばれる凶暴な生き物だ。
俺は仲間にシャチを刺激しないように指示した。
…ん？何故返事が返ってこない？
振り返ると船上には俺しかなかった。どういうことだ？
俺は船の反対側に回り込むと海面を覗き込んだ。
海は赤く染まっていた。仲間がシャチに食われていた。
驚く俺を何かが海の中に引きずり込んだ。人魚だ！
人魚は水中だというのにはっきり聞こえる声で俺に言った。
『ペットの鯱の餌になってくれてありがとう』
ニャン魚は猫は猫でも、虎だった…