[1.テーブル 2.カウンター 3.自宅 4.どちらでも]

16
16

 回転寿司屋の入口で、会員カードを端末に通す。
[1.テーブル 2.カウンター 3.自宅 4.どちらでも]
「[自宅」って持ち帰りってことか?」
 僕は満員電車のような待合所で待っているのも嫌だったので、[3.自宅]を選んだ。すると、画面に
[待ち時間3時間]
 と表示され、キャンセルボタンも無い。
 なんだか馬鹿馬鹿しくなって店を出て、コンビニ弁当を自宅で食べた。
 ピンポーン
「荷物でも届いたかな?」と玄関を開けると、繋ぎを着た人が数名、やけに嵩張る箱をもって並んでいる。
「お待たせしました。回転寿司です!」
 僕は、[3.自宅] を押していたことを思い出した。
「あ、もういいです。昼は済ませたので」
「あ、契約の事は私どもでは判断できかねますので」
 抗いようもなく、店と部屋のテーブルとを周回するベルトコンベアーが設置された。
「ありがとうございました!」
 まず、穴子が流れてきた。
その他
公開:19/06/19 09:06
更新:19/06/19 14:01

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容