鍵(かぎ)

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警察から連絡を受けた時、あいつは骨箱の中だった。
自宅アパートで孤独死。このご時世、特殊事例じゃない。退社して半年後、ゴミの中で死んだ男。それがたまたま俺の同期だっただけだ。

あいつの骨は、無縁墓に埋葬された。
推定死後1週間、室内で白骨化。常識ではあり得ないが、どうしても異常が見付からなかったらしい。家族も縁者も引き取りを拒んだ。俺も近寄るのは嫌だったが、評判を落としたくない上の指示で、アパートへ挨拶に行かされた。
遺品は、部屋の鍵に付いたキーホルダー1個だった。
理解不能な事に、俺はその日に入居を決め、翌週引っ越した。


――動けない俺を、鬼が窺ってる。
引っ越した夜から、部屋の物を食い尽くして倒れる度、現れては俺の中身を喰って肥った。最初は影だったのに、今はあいつの顔だ。

前は虫けら扱いしてただろ。一言責めたかったけど。
こんな顔を見続けるより、残らず喰われた方がいいと思った。
ホラー
公開:19/06/18 23:04
連鎖する餓鬼道 『餓鬼(がき)』の結末へ続く。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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