無音楽団
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やべー寝坊だ。楽譜まで確認してる暇はねえが、せめてパートだけでも。なに?楽器はいらないだと。まあいい。とにかく会場へ急げ。
俺は音楽家。といっても、扱うのは不可聴周波数帯でね。ほら、不協和音とか通奏低音とかあるでしょ。ああいうの。
心の奥ではたくさんの音楽がレイヤーになって響いてる。下の方は、たとえば国籍、性別、年齢とか。逆に上は個人的なもの。出身校や家族、恋人にだって、もちろんそれぞれの音楽がある。
聞こえないんだけどね。感じてはいるのかな。じゃなきゃ、笑うことだって難しいしね。
「遅れてすいません!」
会場に着くと、メンバーはすでにパートごとに着席し、指揮者を見つめている。仕方ねえ。ぶっつけ本番だな。タクトが振られ、まず低い音が滑り出した。打楽器が加わり、メロディ隊がすっと背筋を伸ばす。
それでは、新郎新婦の入場です!
俺はここぞのタイミングで、高らかに指笛を鳴らした。
俺は音楽家。といっても、扱うのは不可聴周波数帯でね。ほら、不協和音とか通奏低音とかあるでしょ。ああいうの。
心の奥ではたくさんの音楽がレイヤーになって響いてる。下の方は、たとえば国籍、性別、年齢とか。逆に上は個人的なもの。出身校や家族、恋人にだって、もちろんそれぞれの音楽がある。
聞こえないんだけどね。感じてはいるのかな。じゃなきゃ、笑うことだって難しいしね。
「遅れてすいません!」
会場に着くと、メンバーはすでにパートごとに着席し、指揮者を見つめている。仕方ねえ。ぶっつけ本番だな。タクトが振られ、まず低い音が滑り出した。打楽器が加わり、メロディ隊がすっと背筋を伸ばす。
それでは、新郎新婦の入場です!
俺はここぞのタイミングで、高らかに指笛を鳴らした。
ファンタジー
公開:19/06/17 08:38
400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。
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