思い出し笑いするインテリア

「これが新企画の『インテリア “ザ・思い出し笑い”』です」
次郎君は説明する。

ハマヤの企画会議室で、各部の出席者を前に、次郎君は何枚かの試作品を取出す。

「一見、普通のお皿ですが、中に“笑い声”をフレックスに、ランダムに再生する機能を搭載してます」

するとお皿が「クスッ」と笑った。
「笑い声はクスッ、アハハ、ゲラゲラの３通り。いつ笑うかは判りません」
彼は続ける。
「一人で寂しいお部屋や、重苦しい会議室に、これ一枚あれば、ふっと心和むひと時を生みます。正に思い出し笑いを再現するインテリアなのです」

するとどこかで「へッ」と嘲笑の声が上がった。
不評かな？ と彼は心配したが、意外にも聴き手の皆には好評で、口々にほめる声が上がった。

会議が終わり、ホッとして商品を片づける次郎君は、机の下にある試作品に気付いた。
忘れていたが、それはボツにしようとした「嘲り声」のバージョンであった。