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「それでも地球は回っている」という男の呟きを、私は聞き逃さなかった。
公園には私の他に五名の男達がいた。当然彼らも、その呟きを傍受しただろう。
私は、スポーツ紙の競馬欄に赤鉛筆で書き込みをしながら男に近づき、顔の前でバサリと新聞を広げて記事を指差した。
「なぁ。このレースどう思う?」
「あんた誰だ?」
怪訝そうな顔の男に、私は新聞の書き込みを突き付ける。
―聞かれたぞ 支部はどこだ?
「あ、あ~そうだなぁ。トーヨコスガモか、アパメジロダニあたりが筋じゃねぇかな?」
男がそう答える。駄目だ。その辺りはすでに壊滅した。
「俺はメグロライオンを勧めるね。みんな大穴だと思うだろうが」
「メ、メグロライオン」
「ああ。本命だ」
私はそのまま公園を出た。尾行は二人。あいつが見込み通りなら、三人くらい何とかできるだろう。迂闊な奴だが、今は数が必要なのだ。
私は尾行をまき、目黒へ向かった。
公園には私の他に五名の男達がいた。当然彼らも、その呟きを傍受しただろう。
私は、スポーツ紙の競馬欄に赤鉛筆で書き込みをしながら男に近づき、顔の前でバサリと新聞を広げて記事を指差した。
「なぁ。このレースどう思う?」
「あんた誰だ?」
怪訝そうな顔の男に、私は新聞の書き込みを突き付ける。
―聞かれたぞ 支部はどこだ?
「あ、あ~そうだなぁ。トーヨコスガモか、アパメジロダニあたりが筋じゃねぇかな?」
男がそう答える。駄目だ。その辺りはすでに壊滅した。
「俺はメグロライオンを勧めるね。みんな大穴だと思うだろうが」
「メ、メグロライオン」
「ああ。本命だ」
私はそのまま公園を出た。尾行は二人。あいつが見込み通りなら、三人くらい何とかできるだろう。迂闊な奴だが、今は数が必要なのだ。
私は尾行をまき、目黒へ向かった。
ミステリー・推理
公開:19/06/16 14:38
書き出しだけ大賞
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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