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壁から次々と生えてくる。一本や二本ではないのだ。あまりに生えてくるので一本捥いでみる。そして、恐る恐る鼻先へ近づけた。こんなものを欲した覚えはない。どうせ生えるならばと考えて、特に壁から生えて欲しいものはないと思い至る。それでも貧乏生活にはありがたかった。バイトの給料日前、お陰で3日くらいはなんとかしのげた。
ある日、気まぐれに人差し指で押し込んでみた。すると、次々壁に吸い込まれていくではないか。俺は慌ててその一本を捕まえる。少し力を込めれば難なく抜けた。あとは残らず消えてしまった。
今頃、お隣さんの壁からこいつらが次々生えているのだろうか。俺は手にした一本を眺める。
「お隣さん?」
角部屋ではないから両側にお隣さんがいるはずだ。しかし、俺はお隣さんを知らない。こいつを手に訪ねてみようか。
「おまえの仕業かっ」
なんて怒られてみるのも一興。
「あなたのお陰ね」
なんてことには、ならないか。
ある日、気まぐれに人差し指で押し込んでみた。すると、次々壁に吸い込まれていくではないか。俺は慌ててその一本を捕まえる。少し力を込めれば難なく抜けた。あとは残らず消えてしまった。
今頃、お隣さんの壁からこいつらが次々生えているのだろうか。俺は手にした一本を眺める。
「お隣さん?」
角部屋ではないから両側にお隣さんがいるはずだ。しかし、俺はお隣さんを知らない。こいつを手に訪ねてみようか。
「おまえの仕業かっ」
なんて怒られてみるのも一興。
「あなたのお陰ね」
なんてことには、ならないか。
ファンタジー
公開:19/06/17 22:02
作文とロックンロールが好きです。
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