雨の独り言

私は昔、蛙にプロポーズされたことがある。
勿論断ったわよ。私は雨。時折地上に降りることはあるけど基本空の上で暮らしているわ。
私と彼では文字通り天と地の差があったのよ。
でも、彼は諦めなかった。空を飛ぼうと必死に頑張っていた。
彼が鳥に食べられそうになった時はいつもヒヤヒヤしていたわ。
だから私は彼に言ったの。もうやめて！って。
そしたら彼、「アオガエルは春が来て、地上に出てきたその時から一生を青春に捧げることに決めているんです」なんて言ったの。
アオガエルの青春。雨に恋して空を飛ぼうとするなんて呆れちゃったわ。
でも、そんな彼の姿に私もいつしか惚れてしまったの。
私は彼と結婚したわ。天に別れを告げ、地上で暮らすことにしたの。
幸い、私達はたくさんの子宝にも恵まれたわ。
えっ？雨と蛙の子供なんているわけないって？
そうかしら？耳を澄ましてごらんなさいな。
アマガエルの美声、聞こえてこない？